眼瞼痙攣になったら

眼瞼痙攣で苦労されている方へ。色んな方法で症状を軽減できます。私は普通の生活を取り戻しました。

病院等で提供される治療法

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病院等で提供される治療法

ここに病院での治療や、病院で処方される薬など「日本で一般的な眼瞼痙攣の治療法とされているもの」についてまとめておきます。このブログは個人でできる対処方法を伝えるのが目的ですが、それに対して「では一般的な医療機関にかかると現在どのような治療の選択肢があるのか」と言うことも知っておいた方が良いからです。それぞれの治療法や手術の技術や原理などは他の一般的な眼瞼痙攣のサイトに細かく書かれているので、このブログではそれよりも、私自身が患者として感じた効果や感想を中心に書いておきたいと思います。

ボトックス

眼瞼痙攣の治療法を調べると一番に出て来るのがこのボトックス(ボツリヌス毒素)による治療です。ボツリヌス菌の出す毒素により特定の神経物質を遮断し筋肉を麻痺させ目が閉まることを防ぐと言うものです。ご存知の通り、皺が出ないようにする美容治療などでも使われているので比較的安全な治療法と言えるでしょう。通常効果は3~4か月で切れますのでその度に施術する必要があります。一回の費用は保険診療3 割負担の方で約¥16,000です。以前はボトックスの効果が切れる前に再度打つと抗体が出来てしまい二度と効かなくなってしまうので、完全に効果が切れてから打たなければならないと言われていましたが、薬剤の改善により現在ではそれほど神経質にならなくても良いようです。年間500単位を超えると抗体ができる場合があるとのことですが、眼瞼痙攣での使用では1回最大でも50単位ですのでそれほど神経質になる必要はないようです。

(* 添付文書ではA型ボツリヌス毒素として初回に1.25~2.5単位/部位を、1眼あたり眼輪筋6部位の筋肉内に注射。片目あたり7.5-15単位、両眼合計15-30単位)

また一回目の施術で効果が出ない場合に、効きの悪い部分に追加で注射するということを行っている医療機関もありますが、その場合でも合計50単位以内です。

私も発症時から今でもこのボトックス治療を続けていますが、最初の頃は効いたり効かなかったり、その回によってマチマチでしたが、現在はほぼ毎回同じ程度に効果が現れています。ボトックスが効いている間は眉間に皺を作ろうとして力を入れても眉や目の周りが動きませんので、それだけでも効果の判断になります。個人的な感想ですが、ボトックスの効果が切れる3ヵ月目くらいに一度数日間調子が悪くなり、その後また落ち着くということが多いように感じます。またボトックス後も効果が出始める1週間後頃に一度数日間調子が悪くなり、その後安定するという感覚があります。丁度、悪い状態と良い状態の境目の閾値を越える時期に調子が落ちるイメージです。今はそれほど悪くなることもないのですが、以前はこの周期に併せて重要な事が入らないようにスケジュールを調整したりもしました。また余談ですが、私は年齢の割に皺が少ないのですが、これはまあ数少ないボトックスの副産物と言えるでしょう。

また、打たれている時にはどこに打たれているかは意識するようにしています。医療機関では患者毎に打つ場所を微妙に変え、それを記録管理しているところもあるようですが、施術者が変わったりした時に、極端に打つ箇所が少なくなったりしたという経験があるためです。そのような時にはやはり効かないこともありました。それ以降は自分でも打たれた箇所が通常通りか意識するようになり、普段と違う場合には遠慮なくその旨伝え疑問が残らないようにしています。 

外科手術

眼瞼痙攣の外科手術による治療には二種類あります。眼瞼痙攣の原因となる目の周りの筋肉を除去することで目が閉まることを避ける方法と、脳内に電極を入れ電気刺激で開眼させると言う方法です。

眼輪筋切除術

異常な動きをする眼輪筋の一部を切除し、動きを制限するように形成する手術です。効果は出しやすいですが、それでも眼輪筋が残存しており、神経からの信号自体を止めているわけではないので、中には、上記と同じく完全に眼輪筋の動きが止まらないこともあります。ボトックスと併用する場合もあるとのことです。

ミューラー筋切除術

痙攣を起こす神経の異常興奮の原因の一つであるミューラー筋の感度を下げるためにミューラー筋の一部を切除する手術です。いきなり一回目でこの手術をするのは侵襲が大きいので、他の方法で改善しない場合の選択肢です。

脳深部刺激療法(DBS)

脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation/DBS)は脳の特定の部位に電極を挿入し、持続的に刺激することにより症状を緩和、改善させる主にパーキンソン病の治療などで採用されている治療法です。眼瞼痙攣への適用の話は聞きますが、まだ確立された治療法ではないと個人的には感じます。

いずれにせよこれら外科的アプローチは、重篤な眼瞼痙攣にのみ適用される最終手段だと思います。最初にボトックスや薬で効果が出なかった時に、色々と調べてこのような治療を検討対象とすることも考えた時期がありますが、様々なリスクがあることも知りましたので、最終的には他の方法に集中することとしました。今考えるとこちらの方面に走らなくて良かったと思っています。

病院で処方される薬

医療機関では、パーキンソン病や他の神経系疾患、痙攣の薬である、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗不安薬などが処方されますが、効果は十分でないことが多いのが現状と思われます。また眼瞼痙攣は一部の薬の服用が原因で発症することもあることから、効果がない場合にこれらの薬を服用するのは逆効果ではないかと感じます。私自身も初期に処方された薬を服用しましたが、逆に調子が悪くなるものも少なくありませんでした。
一般的には下記のような薬が処方されています。

抗痙攣薬 clonazepam (リボトリール) carbamazepine (テグレトール) sodium valproate (デパケン)
抗コリン薬 trihexyphenidyl (アーテン)
抗不安薬 diazepam (セルシン®,ホリゾン®) clotiazepam (リーゼ®)
抗痙縮薬 bacrofen (ギャバロン®)
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) paroxetine (パキシル®)  fluvoxamine maleate (デプロメールルボックス)

私も色々な医薬品を試しましたが劇的に効くものはありませんでした。実際かなり困っていましたので、もしも何かの副作用があったとしても、例えば大事な何か行事がある時に一時的に効くようなものがあればかなり仕事が楽になると思い、色々探しましたが残念ながらいわゆる病院で処方される薬の中で劇的に効果があるものはありませんでした。。

その一方で漢方薬も試しましたが、その中にはそれなりに効果のあり一定期間飲んだものもあります。また、一部のウェブなどで漢方薬を使って完治したとの報告があった頃から医療機関でも漢方薬の研究がされるようになり、一部の医療機関では処方されているようです。代表的なものには、抑肝散などがありますが、これらは他の効果のあったサプリメントなどと一緒に別に記載しようと思います。

また余談ですが、風邪薬花粉症の薬で、飲むと眼の症状が軽くなるように感じるものがあります。恐らく神経伝達物質をブロックする作用が間接的に効くのではないかと思いますが、主症状がない時に眼瞼痙攣の症状緩和だけを狙ってそれらの薬を飲むのはリスクが高いのでやっていませんし、もちろんお勧めもしませんがご興味のある方は個別にご質問下さい。

 

以上、簡単ですが病院を初めとする医療機関で提供される治療方法に関してまとめました。

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