眼瞼痙攣になったら

眼瞼痙攣で苦労されている方へ。色んな方法で症状を軽減できます。私は普通の生活を取り戻しました。

眼瞼痙攣になっても

f:id:blepharospasm:20210801223410j:plain

はじめに

皆さん、はじめまして。

このブログに辿り着かれた方は眼瞼痙攣(がんけんけいれん)症状で苦労されながら色々と調べておられる方だと思います。眼瞼攣縮(がんけんれんしゅく)とも呼ばれていますね。私もなんとこの病気になって早15年弱。本当に厄介な病気ですね。大体、なって見ないとどれほど大変か良く判らない。

痙攣という呼び名からの想像だと思いますが、一般の方には、「ああ、あの疲れるとまぶたがぴくぴくするヤツね。私も経験あるけど、まあ毎日だったら結構大変だろうね。でも、病気と言うほどでもないでしょ?」と思われる方も多いようです。もう少しこの病気を知ってる人でも、「目が開かなくなるなんて大変でしょうね。でも開くこともあるということなら、調子の悪い時はつぶっておけば、まあ生活できないって程でもないんじゃないかな」なんて思われるようです。事実、私もそう思ってました。というか、自分でなるまで全くこの病気のことを知りませんでした。「よく目をつぶりながら話をしている人がいるなあ、癖なのかな」なんて思ってました。

よくブログなどで眼瞼痙攣の症状を紹介したもので「まぶたがピクピクする」などという表現をしているものがありますが、その場合はだいたい的外れな内容が書かれています。例えばこの掲示板 ☞ https://girlschannel.net/topics/1314685/ などに書かれているもののうち90%は眼瞼痙攣ではないでしょう。眼瞼痙攣の症状は擬音で表わすと、まぶたがギューッです。常に何者かをまぶたをつかまれて閉じられているイメージです。時には痛みも伴います。そういう意味では眼瞼攣縮(がんけんれんしゅく)という病名の方が症状に近いイメージですし、眼瞼収縮や、いっそ眼輪筋収縮症などという名前であれば誤解を生まないのにと思います。

そんな激しい症状が継続しますので、一旦発症すると生活が激変します。しかし外から見るとそれ程判らないので理解が得られないのがこの病気の辛いところです。私も発症するまでは人前で話をすることも多くかなり外向的にガンガンやっていたのですが、この病気を発症すると嫌が応でも消極的になります。基本的に24時間目の違和感を感じながらですから日々の暮らしがつらくなります。「今の私の表情けっこうきつく見えているだろうなとか」、「相手は変に思っているかな」、「初対面なのにこんなしかめっ面になっちゃうのはまずいな」、「相手はやっぱり、引いてるみたいだな」などと思っているうちに、だんだん人とも目を見て話せなくなって行き、人と会うのが億劫になります。また気分も落ち込むことが増えて行きます。

原因がわからないころは、「仕事のストレスが原因だったら転職したら治るかな?」などと思いましたが、「しかし、このしかめっ面では面接も通らないだろうなあ」と思ったりの繰り返しでした。子供が幼稚園に入る時の面接なども、もうどうしたらその15分間凌げるかなど実につらかったことを覚えています。親父の人相で子供が落ちたら申し訳ないし。

しかしその後、これが眼瞼痙攣という病気だということが判ってからは、負けたくないので色んなことを片っ端からためして、何とか紆余曲折ありながらも自分なりの対処法を見つけることができ、それにつれ症状も軽くなり、今ではほぼ発症前と同じ程度の生活を送ることができています。その過程で色々なブログなどを読みましたが、これが原因で仕事を辞められる方も沢山いることを知りました。また若い方で前途を絶望されているような書き込みも見ました。社会に出たばかりでこの症状が出たら絶望してしまう気持ちは本当にわかります。

この病気で絶望してしまう原因の一つは、ウェブ等で眼瞼痙攣を検索すると「一旦発症すると治らない病気」と出てくることです。そして大体書いてあるのが、「現在では有効な治療法はなくボトックスという薬を使った対症療法で症状を軽減させるのが一般的」という内容です。私もそれを読んで、「いやそれでもこれだけ広い世界には完治した人もいるだろう」と思い調べて見ましたが、なかなか治った方の情報に辿り着きませんでした。しかし、根気良く探していくと自分なりの工夫でほぼ完治したり、ほぼ無症状に近い状態を維持している人も存在する事を知りました。但し、直ったり症状がおさまってしまった方はもうそれほどこの病気に関して情報発信されないので、世の中にはあまり希望的な情報がないのではないかとも想像しています。実際私も症状が酷い時には自分の記録も兼ねて別のブログを書いていたこともありますが、症状が軽くなるにつれて他に興味が移りそのブログも途中で辞めてしまったという経緯があります。

このブログは、今まで試してきた色々な工夫をまとめる時間ができたのと、ちょっとした工夫で普通の生活を送っている人間がいるということを同じ悩みを持たれている方に知って頂ければと思い書く事にしました。

今でも新しい情報が入ると必ず試すようにしています。私はまだボトックス治療を併用していますが、効き目が切れて症状が戻る3ヵ月目あたりから次の注射までがとても辛い嫌な時期だったのですが、今ではこの期間が、色々な事の効き目を試すチャンスとポジティブに考えています。そう考えると「よし、今回はこれを試して見よう」と楽しみになります。今後もその期間に何か試して効いたものがあればぜひ報告したいと思います。

繰り返しになりますが、実際のところ、眼瞼痙攣にも色々な原因や症状の度合いがあり、人それぞれ軽減に有効な方法は違うと思います。ここに書くものはあくまでも私の記録であり、その実施をお勧めするものではないと言うことを重ねてお伝えします。試したことにより生じた問題には一切責任を持てませんのでご注意下さい

経緯

今記録を見ると2007年に眼瞼痙攣の診断がついて治療を始めているので、この2021年で、発症してから15年弱と言う事になります。

 初めて違和感を感じた日の事は覚えています。人と話をしている時に急に目がギュッとしまり、自分でもなんだろうと思うような症状でした。その日からだんだん瞬きが多くなりまた目が開きにくい場面が増えて行きました。最初は何のことやらわからず眼科に行くとドライアイと診断されて目薬を差したりしていましたが、さっぱり良くなりませんでした。それからは様々なものを調べて眼瞼痙攣らしいということが判ってから大学病院の脳神経外科などにも行き、最終的に眼瞼痙攣と言う診断が付きました。

初期の頃は症状も重く、歩いていたり自転車に乗っていても目が閉じてしまうので生活に支障をきたしました。その後、眼瞼痙攣はジストニアの一種であることから脳深部刺激療法などの外科的アプローチの治療があることも知り、最悪の場合にはそれに頼るようなことも考えたこともありましたが、成功例が低くまだ確立された治療法ではないと判断し、それは見送り一番標準的なボトックスでの対症療法を始めました。若干症状は抑えられましたが基本的には辛い日が続きました。 

ただその中でも毎日同じように辛い訳でなく、少しだけ過ごしやすい日などがありました。「今日は目の閉まり方がそれほど強くなかったが、では昨日と何が違ってこうなったのだろう」という事を一日中考えていました。前日に何かを食べたのが良かったのか、それとも睡眠の量が多かったからなのか、または少なかったからなのか、何か運動をしたからなのか、何か薬を飲んだからなのかなどです。その後はそのような毎日の行動や食事の違いと、毎日の調子を5段階評価で記録しそれを比較分析したりもしました。その時の記録は数年分、今も残っています。

また国内だけではなく海外の学会(BEBRF等)や眼瞼痙攣(Blepharospasm)の患者の記録なども一通りしらべましたが、そんなことをしているうちに、これををすると症状が和らぐという報告が幾つもある事に気が付きました。それを試して一つ一つ試していきました。 

様々な症状の軽減方法

そこで試して効果の感じられたものを生活に取り込み、今の生活に行きつきました。前述の通り眼瞼痙攣の根本原因や症状の度合いは人それぞれなので、私には全く効かなかったけれど他の方には効くものもあるのかも知れません。また私には効いたけど一般的には効果のないものなどもあるのだと思います。これらについては追って一つ一つ細かく書いて行きたいと思いますが、ここでは一般的な治療に加えて他にどのようなものがあったのか一部簡単に挙げてみます。

病院での治療系

既に眼瞼痙攣のことを調べておられる方は御存知の通り、治療法の第一選択肢はボトックスと言えるでしょう。私も今でも3.5か月に1度の頻度でボトックス注射をしています。昔は保険診療3割負担でも、一回30,000円程度の自己負担となり、それが年3~4回ですので年間100,000円以上の費用がかかりましたが、ボトックスの製造元のグラクソ・スミスクライン株式会社が眼瞼痙攣治療に十分な約半量の単位での薬剤を発売した事で現在の一回16,000円ほどの負担になり助かりました。ここでボトックス治療について詳しく書く事は控えますが、このボトックスと並行して他の工夫をしています。初期の頃はボトックス治療をしてもやや症状が和らぐという程度でかなり辛い状況だったのですが、このブログでお伝えする各種工夫を併用することで楽になって行きました。

またその他にも色々な医薬品も試しましたが劇的に効くものはありませんでした。実際かなり困っていましたので、もしも何かの副作用があったとしても、例えば大事な何か行事がある時に一時的に効くようなものがあればかなり仕事が楽になると思い、色々試しました。良く眼瞼痙攣で処方されるアーテンなども試しましたが私には効きませんでした。

また漢方薬も試しそれなりに効果のあり一定期間飲んだものもあります。但し薬よりも他の工夫の方が手っ取り早くリスクも低いのでそちらに力を入れるようになりました。

また余談ですが、風邪薬花粉症の薬で、飲むと眼の症状が軽くなるように感じるものもありました。恐らく神経伝達物質をブロックする作用が間接的に効くのではないかと思いましたが、それらの症状がない時に飲むのはリスクが高いのでやっていませんしもちろんお勧めしません。 

知覚トリック系

眼瞼痙攣について既にある程度調べられた方は知覚トリックという言葉を既に聞かれたかもしれません。目が閉まる時に瞼に直接でなくても眉の辺りなどを指で触れると目が開くようになる現象です。皆、この仕組みには自然に気が付いて眼瞼痙攣になりたての時には皆さん目の辺りを指で触れて目が開くように補助するのではないでしょうか。これは指の力で瞼を上げるようなことではなくあくまでも、眉毛やコメカミの辺りを指で触れるだけで目が閉まるという現象が軽減するというものです。これについてはかなり研究しました。

眼帯をしてどちらかの目を隠すとほぼ症状が消えることに気が付きました。それで何か月か乗り切りました。しかしずっと眼帯と言うのも変ですし色々不便があるので、それに代わるものも試しました。

ひとつはマスクです。マスクは一番効果があると言えます。マスクをすると一気に症状が軽くなります。また海外ではマウスピースを使うだけで目が開くようになるものも紹介されておりました。これは嚙み合わせもあるのかもしれませんが、奥歯で何か噛んでいるだけでも症状が軽くなることを感じました。その時にはマウスピース代わりになるものを口に入れていた事もありますが一定の効果がありましたが会話しづらいのが困ります。またこの延長ですがガムを噛んでいると症状が軽くなる人もいるようです。

クラッチ眼鏡というものもありますが、あれも一定程度効きます。また眩しさが引き金になり眼瞼痙攣を誘発する人にはサングラスも効くことがあります。

マッサージ・ツボ系

また、初期には電気鍼にも通いました。少し効果がありましたが最終的には治療には至りませんでした。保険も効かず自費診療なので費用が大変でしたが、なんとか無理して三か月程度は通いましたが、結果が出ませんでした。

但し様々な場所のツボを勉強することができました。、目の周りなどには効くツボがあります。指で押すのは大変疲れますが、100均で売っているツボを押す棒のようなものを使うととても楽です。

電動マッサージもやり方によっては効く場合があります。基本的に首や頭のコリをほぐすのはプラスに作用すると思います。またリンパマッサージにも効くものがあります。  

食品・飲料・サプリメント

これは単純に食べ物や飲み物で症状軽減と因果関係がありそうなものを抽出し、実際に症状に関係するか色々と試しました。また海外の文献で勧めているようなものも一つ一つ試しました。前述のガムは食品自体に効果がある訳ではなく噛むという動作が関係してくるのですが、食品や飲料自体を摂取することで症状改善したというようなものがたくさん報告されています。

その中でも珍しいのはにがりの含まれた食品柑橘類の皮から抽出して成分を含んでいるものなど、多種多様なものがありました。効果のあったもの、今も続けているものもあります。 

頭の使い方系

眼瞼痙攣の一番最初の診断を受けた時に大学病院で、脳波を取ったり目の症状を観察されたりしましたが、その時に簡単な引き算の繰り返しをさせられました。確かアルツハイマーなどの検査でも行われている100から7を繰り返し引いた数を言って行くという内容だったと思います。医師の方は「精神負荷」という言葉を使っていましたが、脳に負荷をかけることである程度症状を強く出そうということのようでした(実際この程度の計算では負荷にならない気がしますが)。しかし確かに眼瞼痙攣は精神的な負荷と連動しているように思います。特に対人的な場面でそれが顕著な気がします。私自身も一人の時には症状が非常に軽く、他人と話をする時、特に厄介な話になると症状が強くなります。

また眼瞼痙攣は気分の落ち込みと連動することが多いのですが、これは眼瞼痙攣の症状に落胆して気分が落ち込むというよりは脳機能的なメカニズムが背景にある気がします。

また不思議な事に私の場合は英語を話している時の方が症状が出ません。これはもしかしたら母語を話す時と脳の使う部分が異なるからなのかもしれません。自分でも頭の別の所に力が入っているような感じがします。これがコントロールできると症状改善のヒントになるのかもしれませんが、これは複雑な要素が絡み合っているような感じがして今のところあまり追えていません。

いずれにせよ「今相手には自分がどう見えているだろうか」などと言う事を考え始め負のフィードバックが始まると症状が強くなります。ここはある程度開き直って、「まあどうみられてもしょうがない」と考えることも必要だと学びました。 

生活のリズム系

私の場合は、二度寝したり長い睡眠をとったりすると顕著に症状が悪くなります。逆に言うと明け方に寝て早く起きたりすると症状が軽くなる傾向があるので、大事なプレゼンなどある時には前日夜更かしをしたりという工夫をしたこともあります。

また時差ボケで昼夜が逆転した状態の時に完全に症状が消えたことがあります。交感神経と副交感神経の優位関係が逆転するからなのではないかと想像しています。数日して現地時間に慣れてくると症状がでて来ます。これを上手く利用するとある期間症状がないという状況を作ることができました。意識的に利用したこともあります。 

今後

以上、様々な対処方法を簡単に書き出して見ましたがそれぞれの対処方法については引き続き別途細かく書いて行きたいと思います。

 

ご覧になっている方が多いようならば記事を追加する励みになります。下記の人気ブログランキングボタンをクリックして頂けると嬉しいです。


目・眼の病気ランキング